アレルギー表示について(基礎編6/6)

食品表示
基礎編の最終回です。これで、基本的な表示内容について理解できるようになるはずです。
食生活において、直接的な影響を及ぼすアレルゲン表示について見てみましょう。
市場には様々な食品が流通していますが、人によってはそれを食することでアレルギーを発症し、場合によっては生死に影響することがあります。
アレルギーとは、個人差により特定の物質(タンパク質=アレルゲン)を摂取すると、異物(抗原)と認識することで免疫反応により抗体(IgE)を産
生してマスト細胞にくっついてしまいます。
次にそのマスト細胞に再び特定の物質(アレルゲン)が接触すると、異物と学習したマスト細胞が化学物質を放出することで、かゆみなどのアレルギー症状が現れます。
これがアレルギーの発生の仕組です。
近年、その元であるアレルゲンが特定され、その原料が使用された場合は表示義務を課すことで、消費者に注意喚起を促すことが出来ます。
具体的には、必ず表示義務のある「特定原材料」(7品目)と任意表示となる「特定原材料に準ずるもの」(21品目)があります。
「特定原材料」(7品目)
小麦
エビ
カニ
そば
落花生(ピーナッツ)
「特定原材料に準ずるもの」(21品目)
アーモンド
あわび
いか
イクラ(すじこ含む)
オレンジ
カシューナッツ
キウイフルーツ
牛肉
くるみ
ゴマ
さけ
さば
大豆
鶏肉
バナナ
豚肉
まつたけ
もも
やまいも
りんご
ゼラチン
ここで、例えばオレンジでアレルギーになる方がいたとします。
みかんやグレープフルーツなどの他の柑橘類も含まれるのではと思いますが、対象はネーブルやバレンシアオレンジなどのオレンジ類のみで、他の柑橘類は対象ではありません。
しかし、アレルギーを持つ方は、同様の症状が現れる可能性がありますので注意が必要です。
特に小さい子供に初めて与える場合は、異常が見られないかよく観察することが大事です。
また、生のリンゴはダメでもりんご酢や加熱したアップルパイなどが食べれる場合があります。
これは、製造過程や調理などで、元の原因物質が他のものに変化することで、反応しない場合がありますが、アレルギー反応は個人差がありますので、アレルギー専門医の方と相談しながら食事を作る方が良いと思います。
アレルゲンの表示内容
アレルゲンとはアレルギーを引き起こす原因物質のことですが、加工食品には、最終製品では途中で使用された添加物や複合調味料などが使われたことが判別できないことが多いため、アレルゲンを使用した食品には必ずその使用した材料を含むことが分かるように併記する必要があります。
例:果汁(りんご、もも)、
また、原因の材料表示にも別の表現で表示することが認められているものがあります。
以下に説明します。
「代替表記」
特定原材料と違う表記でもその原材料と同じものが使用されていることが理解できるものの表示が許されています。
(例:「卵」の代わりにエッグ、鶏卵、玉子、たまご、うずら卵、あひる卵」
   「乳」の代わりにミルク、バター、チーズ、アイスクリーム」)
「拡大表記」
表示される名称に特定原材料を使用したことが理解できる表記のもの
(例:「乳」の代わりにアイスミルク、ガーリックバター、プロセスチーズ、加糖練乳、調製粉乳など」
   「鶏肉」の代わりに焼き鳥、ローストチキン、チキンブイヨン、鶏ガラスープなど」)
「個別表示と一括表示」
アレルゲンの表示には原材料別に表示する個別表示とアレルゲンをまとめて表示する一括表示があります。
個別表示の例

括弧()内にある成分がアレルゲンとして表示されています(調味料、甘味料の括弧を除く)
チキンコンソメパウダー(小麦・大豆・豚肉を含む)
粉末ソース(りんごを含む)
香料(ごまを含む)
一括表示の例
括弧内の(一部に小麦・乳成分・牛肉・大豆・鶏肉・バナナ・りんごを含む)と表示されている部分です。
個別表示では使用されている材料別にアレルゲンが表示されるため、どの材料由来にアレルゲンが入っているかが分かりますが、たくさん書かれていると、見落とす場合があります。
一括表示では、アレルゲン全体が表記されていますが、どの材料にどのアレルゲンが入っているのかが特定できません。
しかし、見落とす可能性は個別表示より低く、重複したアレルゲンがある場合には表示面積が少なくできるため、包装容器が小さなものには適しています。
アレルゲンが含まれていても表示義務がない場合
加工食品には、あらかじめ包装容器に入れて販売されるため、表示義務がありますが、使用されていても表示を免除されることがある物に注意が必要です。
①スーパーなどの店頭で量り売りしている総菜や店舗で作っているパンなど
②注文を受けてから作る持ち帰り弁当
これらは、店頭で従業員にアレルゲンの有無について確認することが出来るという理由で免除されていますので、家族にアレルギーを呈する方がいる場合は、必ず確認することにしましょう。

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