パンを作るのに使われるイーストフードの表示がないのは本当に安全?

パンに使われる添加物

パンにはその製造過程で様々な添加物が加えられています。

イーストフード、乳化剤、ビタミンC がその代表例ですが、これらはおいしく、食感の良いパンを作るには欠かせないものとなっています。

しかし、メーカーによっては、不使用の表示がなされており、あたかもこれを入れないことは体により良く、健康を害さない印象を持ってしまいますよね。

でも、結論から言いますと、これらを使うことは、使用分量や基準を守っている限りにおいては、何ら問題なく、不使用を謳っているメーカーでも、形を変えて使用している場合があるのです。

特にイーストフードに関しては、詳細が明記されていないので、何だろうと思われるのも不思議ではありません。

そこで、今回はイーストフードにスポットをあててお話してみます。

イーストフードとは?

イーストフードとは、イースト(酵母)のフード(食べ物)、すなわち、酵母が取り込むことにより、発酵を助け、パン生地を膨らませ、ふっくらとした仕上がりになり、品質を安定させるのに必要なものです。酵母はリン(P)、カリウム(K)、窒素(N)を栄養源として利用するため、以下の物質が使用されています。

  • 塩化アンモニウム
  • 塩化マグネシウム
  • 炭酸アンモニウム
  • 炭酸カリウム
  • 炭酸カルシウム
  • 硫酸アンモニウム
  • 硫酸マグネシウム
  • 硫酸カルシウム
  • リン酸水素二アンモニウム
  • リン酸一水素カルシウム
  • リン酸一水素マグネシウム
  • リン酸二水素カルシウム
  • リン酸二水素アンモニウム
  • リン酸三カルシウム
  • グルコン酸カリウム
  • グルコン酸ナトリウム
  • 酸化カルシウム
  • 焼成カルシウム(天然)

以上18種類が添加物として厚生労働省に認められた物質で、これ等を総称してイーストフードと呼び、実際のパン製造においては、このうち1種類又は、複数の物質を用いていますが、表示は全物質を表示しなくてもイーストフードのみでよいことになっています。

また、焼成カルシウム以外はすべて合成化合物となります。

なぜ、イーストフードを使うのか?

町のパン屋さんのように多品種を少量ずつ作る場合においては、イーストフードを使用しない場合があるかもしれませんが、工場で大量に製造する場合においては、製品の品質を一定に保つためには、必要となります。

その役割は以下の三つです。

  1. 酵母の栄養源となり、発酵を助ける。
  2. 水の硬度を上げることで安定した生地ができ、品質が保てる
  3. 作業効率の改善、材料費の節約につながり、大量に製造しても均一で高品質のパンができる

1つの添加物を使う量は少なくても、複数の添加物を加えることによる、影響については、わかっておらず、安全ではないという意見もあるようです。

イーストフード無添加のからくり

イーストフード不使用と表示しているパンがありますが、これらは単に使わずに製造しているのでしょうか?

これを知るには、食品表示法について知っておくべきことがあります。

それは、完成品に残留物が残っていないもの、または、基準以下のもので、添加物としての効果がないものは、製品に添加物の表示が免除されるのです。

これをキャリーオーバーといい、天然物、合成物を問いません。

例えば、酵素は添加物として入れられていますが、加熱工程で失活するので完成したパンは、添加物としての役割が終わっており、表示する義務がないのです。

また、生地には硬水が適していると言われますが、日本の水は軟水が多いので、水にカルシウムやマグネシウムを含む天然物を加えることにより、人工的に硬水を作れます。この場合、天然物が添加物ではなく、食品素材扱いになるため、これも製品への表示義務がなくなります。

つまり、表示の必要がない方法で作っているだけで、山崎パンの見解によれば、イーストフード代替物を使って製造していることには代わりがないということのようです。

ですので、イーストフード不使用だからより安全ということではなく、イーストフード使用を表示している場合と、安全性には差異がないのではないかということです。

これについては、日本パン工業会並びに日本パン公正取引協議会において表示の自主基準作りを検討しているようなので、見解を待ちたいと思います。

ちなみに山崎パンの見解を載せておきます。

https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html

イーストフードなどの許容量の求め方

イーストフードの18種類の添加物それぞれは、厚生労働省はその安全性を科学的根拠に基づいて決めています。毎日摂取し続けても健康に問題がない量を決めており、これをADI(1日摂取許容量)といいます。

ADI=NOAEL÷安全係数
「一日当たり体重1kgに対する量(mg/kg体重/日)」

NOAEL:各種動物試験から求められた無毒性量のうち最小のもの

安全係数:動物と人間の差や、子供などの影響の受けやすさなどの個人差を考慮したもの

このように、安全を見越した量を決めているので、イーストフード使用でも安全性に問題はないと思われます。

まとめ

パンを大量に、均一に高品質に製造するには、イーストフードは欠かせない添加物となります。しかし、イーストフード不使用の表示は、表示の必要ない代替物を利用していることがあり、完全に不使用とか、より安全で健康に良いという訳ではありません。

イーストフードを決められた基準量(ADI)以下であれば、使用しても問題ないと思われます。

皆さんも表示を見て買われる方が多いと思いますが、イーストフードを使用していても人体に影響は無いので、正しい知識で理解していくことが大切だと思います。

 

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